旅記 No.3
2003/7/13 ~ 8/2
スペイン(出張)
7/13
成田で荷物が重量制限にひっかかっていきなりもめた。
同行者が初の海外出張に不安を感じ、飲料水を2kg入れていたらしい。泣く。
7/14
早朝6時前から出社。満月が日本より近く鮮やかに見える。
7/15
仕事相手の P と色々やりとり。
スペインの人はみんな感情表現が豊かで、答えが納得いかないと心底いやそうな態度でため息をつく。 今日一日で P のため息を何回聞いただろう。
ちなみに彼は自分のミスを認めたときはとても無表情だ。
あまりに毅然としていたので、彼のミスだと理解するまで3回くらい聞き返した。
7/16
仕事の中で事あるごとに文化の違いを感じる。
7/17
今日も朝4時頃起き、工場のラインに立って一台一台作業。
ヨーロッパに海外出張と聞いたら、普通もっとクールなビジネスを想像すると思うが。

スペイン人との阿呆なコミュニケーションが楽しくなってきた。
南のビーチはオカマが多いから気をつけろと P に言われたが、 Okama の前に仕事で使える日本語を覚えてほしい。

7/18
赴任者に聞いたスペイン人気質のおはなし。

組み立て家具を買ったが、作ってみたら案の定ネジが足りなかった。
そこで店に文句を言いに行ったら、よしわかったと言われ、
横にあった別の家具からネジを抜いて渡されたという。

あとのことなど考えない。いつまでもネジの足りない家具が連鎖していくのだろうか。

7/19
昨夜ワイン漬けになったため、激しく二日酔いになった。
今日はせっかくの休日だったので、疲れを癒す間も惜しみモンセラットの山に向かった。
ケーブルカーで登ったがずっと気分がすぐれず、修道院で一時間以上固まっていた。

岩山モンセラット修道院

7/20
"Hasta Manana" (アスタ・マニャーナ)
「また明日」という意味のスペイン語だ。しかし、慣れない出張者はこれを「明日まにあわない」と聞き間違えることがある。 今のような限界突破したスケジュールの中で、現地担当者がにっこり笑って

「アシタ マニアワナイ」
「えぇっ!?」

みたいに緊張が走る。

7/21
だんだんこちらのペースに慣れてきた。
ルールの破綻した状態で意志が伝わる瞬間は感動がある。
7/22
赴任者に聞いたスペイン人気質のおはなし(2)

バラエティー番組で、ゲストが生の蛸を頭に乗せられてキャーキャー大騒ぎしていたらしい。
ゲストが蛸を投げ、司会者の頭に乗ってまたキャーキャー。
今度は客席に蛸が飛んでいき、あっちでもこっちでもキャーキャー。カメラマンの方にも飛んで行き、みんなキャーキャー。
そうやって盛り上がるのはスペインらしい。

しかし、この盛り上がりによって、新聞のテレビ欄などの予告を無視して勝手に番組が延長するそうだ。 野球中継のように後の番組がくり下がっていくのは突発的におこることらしい。

7/23
今日の終盤は珍しく落ち着いていたので、P と雑談しながら仕事していた。
あそこのグループで誰が好みだ? クリスティーナが一番美人だ。おお俺も同感だ、
とか言語の壁を越えて心が通じ合った。
7/24
帰り際、スペイン人たちに誘われて飲みに行った。
一緒に行った日本人が、イッキという日本語を教えたせいでひどいことになっていた。
7/25
なんだかんだ楽しい出張だ。
週休一日ペースではあるが、数ヶ月くらい飛ばされても良いと思う。
毎日このページを書き続けられているのも、日本にいる時より刺激的な生活だからだろう。
7/26
近所でうまいと評判のピザ屋、駅前の売店、どちらも休業しており、 9月までバカンスという張り紙がしてあった。
国が停止し始めたようだ。次元が違う。
7/27
ビーチでゆっくり過ごしていた。
トップレスな女性がいるのは良いが、場所を間違えると男性もボトムレスだったりするのできつい。

最初は荷物から目を離さないように気をつけていたが、そのうちどうでも良くなって パシャパシャ泳いでいた。
こっちは無事で良かったが、別の出張者は財布をすられて落ち込んでいた。
やはり危険はいっぱいらしい。

7/28
3週目に突入した。どうやら今週で帰国できそうだ。
7/29
仕事の問題は続く。
"I want to cry." と基礎英語で悲鳴を上げるスペイン人。
7/30
仕事をしているふうなことを書いているが、実際のところ英語力が なさすぎるので非常に苦労している。
加えて、相手側の英語も激しいスペイン訛りのことが多いので難しい。

相手:「退屈?」
自分:「9600」

みたいな意味不明な会話がしばしば展開される。

7/30
今年は二週間しか夏休みが取れない、と言って悲しそうな顔をしているスペイン人
8/1
とうとう出張最終日。
様々なハプニングがあったが、充実した毎日だった。 最後に現地人の仕事仲間たちが色々おみやげをくれて嬉しかった。

"Adios!"

Fin.